ロシア国籍、子どもの国籍、国籍喪失、国籍取得手続き、国籍選択、二重国籍、国際結婚について
 
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国籍の法務Q&A
国籍の法務に関して、専門の国際行政書士(あさひ東京総合法務事務所所属)がQ&A形式でお答え致します。

Q1: アメリカでは生まれた場所がアメリカなら、アメリカ国籍を取得しますが、日本ではどうですか?
A1: 日本では生まれた所が日本かどうかではなく、親の国籍が日本か否かで決まります(原則。例外、国籍法2条3号。なお、最二小判平7・1・27。)。
もし、アメリカのように生地主義を基調としていれば、「在留特別許可」のかなりの部分が不要になるでしょう。たとえば、生まれながら日本国籍を与えられるのであれば、日本人には「在留資格(ビザ)」は不要である以上、その子どもに関しては「オーバーステイ」の余地は無くなります。
 ※なお、日本とロシアの国籍(または外国国籍ないし外国旅券を取得したことによる日本国籍喪失)については、Q12をご覧下さい。

Q2: 私は夫婦双方が外国人ですが、今度子どもをもうける予定があります。何とか子どもに日本国籍を与える方法はないですか?
A2: そのままでは日本国籍を取得することはありません。方法としては、出産前にあなたが帰化することが考えられます。

Q3: 私たちはオーバーステイの夫婦ですが、子どもを出産したときに役所には届け出しませんでした。摘発されるのが怖いので・・・。この子どもの国籍はどうなるでしょうか?
A3: 放置すれば、その子どもは「無国籍」になり、どこの国からも保護されないことになる場合があります。

Q4: 子どもが無国籍になると困るので、親戚の夫婦の子どもとして届出することにしました。これで安心ですよね?
A4: 刑事責任としては、公正証書原本等不実記載罪で処罰される可能性があります。なお、協力者は(共謀)共同正犯または従犯です。他方、民事上はその子どもの将来の法的地位が不安定になり、トラブルの原因になります。

Q5: 摘発されるのも子どもが無国籍になるのも困ります。ではどうすればいいのですか?
A5: 正しい法律上の手続きを採ってください。入管法等に詳しい人に相談することです。

Q6: 国際結婚すると、子どもは当然に二重国籍になると友人から聞きましたが本当ですか?
A6: 国籍留保の手続きをしないと、日本国籍を失います。期限があるので注意してください。

Q7: 私は日本人ですが、妻との関係が冷え切っており、現在、ある外国人と内縁関係にあります。ちなみに妻の側も本国に夫がいますが、離婚の交渉中です。妊娠中に役所に行きましたら、内縁の妻の側が独身でないといけないとか何とかよく分からないことを言ってましたが、昨日、彼女との間に子どもが生まれました。日本人の子どもは日本人になるという話を友人から聞きましたので、早速この子を、自分の子どもであると、役所に申告する予定です。出生届けというのは、生まれた後にするものですから、大丈夫ですよね?
A7: その子どもは、原則としてその状態では日本国籍は取得できません。つまり、日本国籍を与えたかったのであれば、その子どもにつき「胎児認知」する必要があったのです。

Q8: そんな法律があったとは夢にも予想しておりませんでした。日本人同士の内縁関係と同じように考えていたのです。どうすればいいのでしょうか?もうだめなのでしょうか?
A8: 出生後3か月以内に親子関係不存在確認の訴を起こし、家裁での審判が確定後14日以内に認知の届出を出す必要がああります。
 なお、このような事案においては、胎児認知の届出が不受理になることがありますが、不受理なら不受理で、不受理証明を得ておいてください。

Q9: 胎児認知とは何でしょうか?
A9: 胎児認知とは、胎内にある子を認知することであり、母の承諾が必要です。国際結婚の事実婚の場合に問題になり、この場合、認知された子は出生により日本国籍を取得します。
 これは国籍を取得するうえで、非常に重要ですが、一般にはあまり知られていません。その結果、多くの日本人の子どもたちが「外国人」と扱われて、在留資格を問題にされたり、あるいは無国籍になっています。特に、外国人は在留資格が必要であり、国籍付与が急務な場合があります。国際結婚されるかたは、入国管理局、法務局、区市町村の戸籍課・外国人登録課、本国の大使館・領事館、本国の外務省、本国の区市町村、日本の外務省、日本の在外公館、家庭裁判所、等が複雑に絡み合うことに注意しておいてください。

Q10: 出生後の認知は無駄ですか?
A10:  準正がありますから、無駄ではありません。なお、認知のみでは不十分としつつ、準正による国籍付与を可能にしたのは、認知のみでは仮装認知の危険が大きくなるからです。

Q11: 私は日本人ですが、配偶者が某国に帰化したところ、法務局に自分の子どもが日本国籍を喪失したので、手続するようにと言われました。本当でしょうか。
A11: 実例で、法務局の過失だったことがあります。危うく国籍喪失の手続をする一歩手前でした。日本で一番詳しい行政のはずの法務局が間違えてしまうくらい、国籍は難しい事案があります。その件では、過去の行政先例や通達や専門的な文献を調査のうえ、上申書を作成する必要がありました。結局、法務局から当事者の面前でお詫びの言葉も頂きましたので、どちらの法務局かは、名誉のため、公開は控えさせていただきます。

Q12: ロシア国籍の親と日本人の親(両者が婚姻しているものとします。)の間に生まれた子どもの国籍はどうなりますか?
A12: この問題については、きちんとした経験・能力のある法律専門家が、従来、正確に説明したことが全くありませんでした。以下は、あさひ東京総合法務事務所の代表行政書士による日本で初めての法的説明になります。いかなる法律学の大学教授ないし専門家であっても、下記の私の検討よりも詳しく検討した例はありませんし、ロシア法の理解も必要なので、今後もこれ以上のレベルの解説は出てこないでしょう。。※なお、現行の法令の説明であって、過去の法令を対象にしたものではありません。また、以下の話は、ロシアの話ですが、他の国の場合でも似たような場合はあり、当てはまる事例があることを付言致します。

○ロシアで出生するか日本で出生するかが運命の分かれ目
 ロシア国内で生まれた場合、(日本国籍留保により)生来的に日露二重国籍になります。一方、日本国内で生まれた場合、生来的には、二重国籍にはなりません。これは「現在の」ロシアの国籍法においては、その場合には、生来的な国籍付与を認めていないからです。これはロシア連邦国籍法では、「出生によるロシア連邦国籍の取得」として、以下を要件にしているためです。「父母の一方がロシア連邦国籍を有し、他方が外国人であるときは、子がロシア連邦の領域内で生まれた・・・こと。」
 もっとも、ロシアの国籍法では、このような子どもにつき、在日ロシア大使館において、ロシア国籍を容易に与えています。しかし、これは生来的に付与したものではなく、あくまでも出生後に事後的に付与する形式になります。つまり、日本の国籍法では、これはロシア国籍への帰化ないしロシア国籍取得を意味します。この結果、日露夫婦の子どもが日本で出生した場合に、在日ロシア大使館で、ロシア旅券を得た場合、日本国籍法11条1項の「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。 」にそのまま該当することになり、日本国籍は自動的・瞬間的に喪失します(実務・通説)。ロシア旅券を得るということの意味は、ロシア国籍を得るという意味です。親のロシア国外旅券の子ども欄に写真だけ貼っているような場合であったとしても、ロシア国籍を得ていることに他なりませんので、注意が必要です。以上は私の個人的見解ではなく、日本の法務省・法務局・外務省・在日ロシア大使館の各々の高官レベルの職員の共通一致意見ですので、ご注意下さい。但し、窓口で対応されている知識不足の職員ですと、間違ったことを言う場合が「非常に」多いです。もし、これをお読みになって、納得いかない、つまり、私の書いていることを信じられないならば、日本国籍の得喪というのは、日本国政府の権限ですので、在日ロシア大使館に聞いても意味がありません。在日ロシア大使館ではなく、日本の法務省と外務省にお聞きになるとよいでしょう。法務省なら民事局民事一課(03-3580-4111(代))。外務省なら旅券課(03-3580-3311(代))です。電話で結構です。法務省民事局民事一課も外務省旅券課も、このレベルの質問はすぐには回答できないレベルの質問なのですが、少し調べて頂けば、必ず、上記に書いたのと同じ回答、すなわち、「子どもの日本国籍は喪失します(しています)。」という回答が返ってきます。

○間違った理解をしている職員の説明で勘違いする夫婦が多数
 ところで、外国政府(日本政府職員ですら誤解している人が存在するのに、外国政府ならなおさらのこと。)や市役所はもちろん、地方法務局レベルですと、この問題については、間違った回答をしてしまう場合もあるようです。それでは、テイハンの『戸籍六法』をお読み願います。その巻末付録に「出生による国籍取得に関する各国法制一覧」というものがあります。そこのロシアの欄をご覧下さい。「両親の・・・他方が外国籍の場合、国外で出生したときには(ロシア国籍を)取得しない」という趣旨で説明されています。つまり、日本で出生した日露夫妻の子どもは、出生と同時にはロシア国籍を取得しないという解釈が戸籍実務で決まっているのです。そして、外国に「帰化」すれば、日本国籍は喪失します。そうした子どもが在日ロシア大使館で旅券を得る行為は、帰化行為に他ならず、日本国籍は喪失します(日本国籍法11条1項)。なお、これは未成年であっても同じです。親の法定代理権の行使で外国に帰化した場合、日本国籍は喪失します(日本国籍法11条1項)(実務・通説)。この点、在日ロシア大使館でのロシア国籍取得申請は、ロシア人親側だけの申請行為だと勘違いされている人もいるようですが、日本人側の親の同意書への署名も要件になっていますので、明らかに親権者双方の代理行為であり、日本国籍法11条1項に該当しないという抗弁は成り立たないと解釈されています(戸籍実務)。
 但し、一部の法務局では、国籍喪失届を審査する際、誤って、「喪失しない」と回答したりしています。しかし、ここで注意して下さい。その判断というには、その地方の法務局の職員の、その時点での間違った判断に過ぎません。たとえば、将来、外務省ないし旅券センターが国籍喪失を発見したらどうなるでしょうか。既に長年不法滞在をしてしまっていることになるのです。ですから、地方の法務局だけに聞いても不十分なのです。繰り返しますが、法務省なら民事局民事一課(03-3580-4111(代))。外務省なら旅券課(03-3580-3311(代))です。以下は、外務省旅券課職員の発言そのまま引用します。「・・・ロシアの場合ですと、日本出生、生後にロシア国籍(旅券)取得の案件で、日本国籍を喪失すると法務省は回答していますよ。間違いないです。・・・」(外務省旅券課職員)
 そもそも、「喪失しない」という「噂話」は、当事者が、一部の地方法務局へ、個別の事情をきちんと説明しないで、ちょっと電話で問い合わせただけで、そのうえで、法務局側が、きちんと調べないまま安易に、法務局職員が「喪失しない」回答しているケース、あるいは、外国側の大使館の職員のうち、よく分かっていない知識不足の職員が、問い合わせに回答した際に、「喪失しない」と回答しているケース、だけであり、きちんとした手続きに載っかったケース、きちんと調査されたケースで、「喪失しない」との結論になったケースは、日露の現行法では、一件も確認されていません。 インターネットの投稿の掲示板や友人の話を鵜呑みにしているのは最悪です。なぜかといえば、日本人とロシア人の夫婦の場合、日本人側はこの問題については、あまり深く調べていないにも関わらず、外国人側配偶者の意見を鵜呑みにしている傾向にあります。ところが、その外国人側配偶者は、友人の同じような境遇にある人の意見を鵜呑みにしています。そして「大使館の人が二重国籍になると言っていた」という噂話が一人歩きしています。仕事で忙しいのは分かりますが、子どもの国籍という大事なことですから、妻や夫に任せず、まずは、日本人側がきちんと調べることが大切です。
 なお、行政書士の私は、以下を確認済です。東京法務局戸籍課(日本で最大規模の地方法務局)の5~6人の意見が一致し、また、外務省旅券課のベテラン職員+中堅職員+若手職員ら全員意見一致、及び、法務省民事局民事一課のベテラン職員も同じ結論であり、現在の日本政府の公式見解では、国籍喪失の結論は、100%確かです。日本側は、外務省、法務省、法務局、入管の四者の一致した意見で「国籍喪失」、なのであって、結論は出ています。

○世間一般の「常識」とは違う
 私が調査した限り、昔のロシア国籍法では、日本で出生しても、生来的に重国籍になるという解釈がありえた時期があったという報告があります。これも混乱の背景かもしれません。しかし、現行法での解釈はもう決まっており、最近では、いよいよ外務省、法務省、及び入国管理局が本腰入れて、摘発というか、法律に違反した行為を見つけるようにしてきています。
 よくアメリカに帰化すると、日本国籍を喪失するという話を耳にしたことがありませんか。外国国籍を取れば、日本国籍は失います。日本国籍を喪失することを知っていたかどうかは、全く関係ありません。日本国籍喪失を知っていなくても、日本国籍は失います(法律を知らなかったので、二重国籍になるなんておかしいですからね。)。上記に書いたことはそれと全く同じことなのです。もしロシア国籍法が、日本で出生したダブルの子どもにも生来的にロシア国籍を付与しているなら、この問題は生じないのです。しかし、「生来的にはロシア国籍を付与しない」のです(ロシア国籍法 37条1項「ロシア連邦国籍は、以下の日から取得される。・・・その他の場合は、ロシア連邦国籍を所轄する機関が当該の決定を下した日。」)。
 この点で、「子どものうちは、20歳までは、重国籍を認めると聞いた。」と言う方も多いですね。しかし、それは、生まれながらにして、外国の国籍を得たケース等のことを念頭に置いていますので、こういうケースは適用対象ではありません。要するに、国籍の問題というのは、世間一般の常識とはずれている側面があって、簡単に喪失するのです。

○「日本国籍を喪失したことを一生隠そう。」は「正しい」のか。
 さて、これに対し、このこと(日本国籍喪失の事実)に気づいた人のうち、一部の人は「日本国籍を喪失したことを一生隠そう。」と考えている模様です。ただ、一生隠すのは無理かと思いますし、危険過ぎます。理由は以下のとおりです。
 最近では、外務省、法務省、及び入国管理局が、国籍喪失者狩りのようなことを、少しずつ始めるようになってきました。具体的には、旅券更新時、及び、出入国時に、旅券等をチェックするわけです。一般に、「自称二重国籍者」の場合、日本出入国時に日本旅券、外国出入国時に当該外国旅券を用います。しかし、日本旅券に相手国の出入国証印が押捺されないために、日本旅券を見れば一目瞭然で、「外国の旅券を行使しているな。」と推定できます。これまでのところ、日本の出入国時の入国審査官による摘発は、あまり多くないようですが(但し、最近、空港での摘発事例が出ているのを複数聞いています。)、法理論的には、簡単に摘発可能であり、いつ積極的な摘発に転じてもおかしくありません。日本旅券を提示しないと出入国できないのですから、これを一生隠すことなど無理な話です。国際家族の子どもが、一生、出入国しないのですか?という話になってしまいますので、あり得ないでしょう。
 一方、旅券を作成する外務省による摘発は、主に旅券を作成ないし更新するときのチェックで行います。旅券を作る場所は、在外公館と、日本の旅券センターの二種類あります。在外公館で更新する場合にせよ、日本の旅券センターで更新する場合にせよ、外国国籍の有無を発見するために、職員が旧旅券をチェックするのが通例になってきています。また、旅券申請書に、外国国籍の有無等を問う欄もあります。これに対し、一部の人は「外国国籍を持っていないと言おう。」と考えている模様です。しかし、旅券の虚偽申請は、偽装結婚並みに重い犯罪に該当しますから、大変に危険な犯罪行為です。子どもを犯罪者にするなんて、考えられません。

○自分の子どもに何をさせているのかを正確に認識すること。
 ここでそうした方々がどのくらい危険なのか指摘致しますと、やっていることは「外国人の不法入国者」、「犯罪者」と全く同じことです。つまり、もう日本国籍者ではないのですから、「外国人」なのです。外国人は日本に在留するためには、「在留資格」が必要です。在留資格がないのに、在留しているのは、「不法滞在者」そのものなのです。日本国籍者でないのに、「外国人」が、日本国籍を装って、客観的に無効な日本旅券を行使し、入国管理局も欺罔して出入国し、外務省から虚偽の申請で日本旅券をだまし取り、市区町村でも、日本の戸籍に不実の記載をし続けているのです。これは逮捕されてもしようがないほどの連続的な犯罪行為なのですが、実感がない方は、「外国人」がそういう行為をするとどういう犯罪になるのかにつき、「警察庁」に電話でお尋ね下さい。

○子どもが大きくなったらどうなるか。
 この点、子どもが小さいうちは、こうしたことを親が気をつけて、「出入国しないようにしよう」とか「旅券の更新でもうまくやろう」などと考えるのかもしれません。しかし、子どもが大人になった後はどうされますか?いつまでも親がコントロールできるわけでもありません。子どもにしたって、こんなややこしい話、いつまでも覚えてられないでしょう。海外に留学だって行くでしょうし、外国人と交際することもあるでしょうし、海外出張の多い商社や海外の日系企業や外資系企業に就職もするでしょう。ロシアに長期滞在する子もいるかもしれません。そして、こうした子どもが20歳を過ぎても、状況は変わらないことに注意して下さい。つまり、依然として、日本国籍を偽装した「不法滞在者」のままなのです。最近のニュースで中国残留孤児で血縁を偽装した事件がよく摘発されていますが、それと同じ偽装日本国籍者なのです。

○子どもの子孫は?配偶者は?
 このような子どもが、結婚したらどうなるでしょうか。もしも、子どもも外国人と国際結婚した場合、子どもは、日本国籍を偽装していますから、外国人側配偶者は、「日本人の配偶者等」の在留資格になりますし、その夫婦の間の子どもは、「偽装日本人」の子どもで、偽装が露見しなければ「形式上」、日本国籍を付与されてしまうでしょう。しかし、長年の人生において、人間というのは、いつも注意深く行動できるわけではありませんし、入管も外務省も今以上に厳しく調査する場合もあるでしょうから、いつか、事実が明るみになってばれてしまう日が来ることでしょう。そうなると、例えばですが、自分の子どもが国際結婚していた場合、その外国人妻や夫の在留資格は取消し、退去強制手続、子ども(自分からみれば「孫」)は親(自分からみれば「子」)も含め日本国籍のない単なる不法滞在者ということが明るみになり、しかも、この法理論の効果というのは、孫、孫の子、孫の孫、というふうに、末代まで続きます。「親亀の上の子亀」が全てひっくり返るようなイメージです。そうした場合に、子どもや孫やその配偶者達が、就職していて会社員だったらどうするのでしょうか。公務員だったらどうするのでしょうか。会社に知られれば、仕事をクビになる可能性があると思われますが、日本人としての証明を失うということは、戸籍は除籍、住民票も消滅、外国人登録、日本旅券は剥奪、ということになるので、会社に知られるのが普通かと思われます。

○「不法滞在外国人」への政府の扱いは保証がない。
 また、問題なのは、このように、未来のある時期において、「偽装日本人」(日系1世)であることが露見した場合、日本政府がどう対応するか、保証が無い点です。現在、「偽装日本人」であることが露見した場合、以下のような措置を取っています。最も、厳しい措置は、たとえば、外国人が日本人を装って不法入国したケースです。この場合、警察が逮捕し(日本旅券は没収)、検察は起訴して、裁判で懲役1年半前後、初犯なら執行猶予3年~5年程度にしたうえで、入管に引き渡し、それから強制送還にして、「国籍国」に帰します。しかし、一方、法的には全く同じことを、日本人の子どもが行い、親に責任があって、子どもに責任はないという場合は、まず、日本旅券は外務省が回収し、それから戸籍は、国籍喪失届を受理して、除籍にし、その後に、「外国人」として、「外国人登録」したうえで、入国管理局に在留希望で「出頭申告」し、入国管理局の調査部門で、「調査」、次に違反審査部門で「審査」、審判部門で「口頭審理」、最後に法務大臣の「裁決」を受けることになります。つまり、通常の「不法滞在者」と全く同じに扱われます。現行の制度では、この時点で、子どもが未成年ならば、多くは「在留特別許可」にできると思いますが、成人した後で、かつ、子どもが何か事件を起こして、前科持ちであるような場合、最悪の事態を想定すると、退去強制処分になってしまう場合もあり得ます。そして、「保証」が無いという意味は、こうした扱いは、今後の法改正や制度の運用の変更で10年後、20年後、30年後等に一体、どういう制度になるのか、想定しきれないことです。

○就職や学校に影響する。
 また、仮に在留特別許可を得られるケースであっても、戸籍が、国籍喪失届を受理して、除籍にした後、在留特別許可を得られるまでの間、しばらく時間がかかることがあります。一般に、最近の東京入管では、半年ないし1年半、あるいはそれ以上かかる場合もあります。この間、子どもは、外国人登録し、戸籍から除籍されているのに、在留資格のない不法滞在者だという扱いにされてしまいます。警察に職務質問されれば、(成人している場合は)逮捕されることもあります。この期間中に、勤務先や学校から、あるいは、就職活動中等で、住民票の類の提出を求められたらどうするのでしょうか。あるいは、外資系企業ないし日本のメーカーや商社に勤務している場合で、海外出張を命じられたらどうするのでしょうか。不法滞在者の場合、日本から出国するのは、自由ですが、当然には戻って来れません。在留特別許可というのは、在留している場合のみだからです。もし、こうした子どもが、在留特別許可の審査中に出国しなければならなくなった場合、退去強制処分になることがあり、その場合、初回の退去強制処分では、5年再入国できなくなりますし、仮に出国命令の適用があった場合でも、1年再入国できなくなります。そして再度入国するには、「在留資格認定証明書」で来ることになるのが通例ですが、普通の外国人と同じように審査には時間がかかります。職場や学校はどうするのでしょうか。
 以上から、「日本国籍を喪失したことを一生隠そう。」と考えるのは、困難だし、適切でも賢明でもなく、最悪の選択だと思われます。本当の意味で、子どものためにならないのです。

○賢明な対応とは?
 では、一番、賢明な対応というのは何でしょうか。そもそもなぜロシアの国籍をみな取るのでしょうか。それは、日本国籍しかない場合、ロシアへ渡航するには、査証が必要なこと、査証の期間制限があること、現地での医療保障の問題があること、等が理由です。子どものころは、ロシア国籍がないと、非常に困るのです。原発事故のときでも、ロシア国籍が無ければ、すぐに出国などできないわけです。ですので、上記の様々な事柄を全て承知のうえで、それでも敢えて、今からロシア国籍を取りたいという場合には、完璧に法律を遵守することです。すなわち、そもそも外国国籍を取得した子どもは、喪失の日(=外国国籍取得の日)から30日以内に、「在留資格取得許可申請」をするのが原則になっています。ここで喪失の日(=外国国籍取得の日)は、ロシア旅券を得た日ではなく、在日ロシア大使館の大使が署名した「ロシア国籍許可証明書」の日付けになりますので、旅券を得る日よりも遡ります。
 一方、「在留資格取得許可申請」をするには、予め、国籍喪失届を市区町村に出し、管轄の法務局の審査を経て、受理され、戸籍から除籍しなければなりません。それから外国人登録を行って、その次に、「在留資格取得許可申請」をするのが原則になっています。ところが、国籍喪失届を市区町村に出し、管轄の法務局の審査を経て、受理されるのには、時間がかかります。実際問題、在日ロシア大使館から、「ロシア国籍許可証明書」を得た時点で、「ロシア国籍許可証明書」に記載されている「ロシア国籍許可証明書」の発行日よりもだいぶ遅れているのに、法務局での審査で、2~3週間かそれ以上かかる事例があるので、「30日以内」に、「在留資格取得許可申請」をせよ、という入管法の法令の要求は、正直、かなり、厳しい要求なのです(いかに外国人の権利や立場が弱いか分かりますね。)。ですので、ロシア大使館に国籍取得申請をする時点で、もう「国籍喪失届」、「外国人登録」、「在留資格取得許可申請」といった一連の準備をことごとく事前に行っておくのがよいでしょう。要領よく手際よく、時間に余裕のある、日露の国籍法や戸籍法、入管法等につき、かなりの法的知識と経験のある人が、対応してギリギリという感じです。こうした作業を期限内に行い、不法残留にならないように行うのは、かなり難しいのですが、仕事しながらそんなことはできないと思われる場合、実は(合法的な)抜け穴的な方法もあるので、経験・知識のある法律専門家に相談するのがよいでしょう(但し、私がここに書いたレベルの経験・知識のある法律家は、ほとんどおりませんが。)。
 「在留資格取得許可申請」で許可されれば、子どもの「在留資格」は「日本人の配偶者等」の「等」に該当します。つまり「日本人の子」というカテゴリーです。在留期間は、日本国籍喪失者の場合、最初から「3年」が付与されるのが通例です。
 そして、こうして「日本人の配偶者等」の在留資格を取得許可された子どもは、その後、永住許可、さらに日本への帰化許可を射程にできます。ちなみに、在留資格が無い状態では、帰化申請ないし帰化許可はできません。
 ロシア国籍の未成年の子どもの日本への帰化の可否についても、私の事務所(あさひ東京総合法務事務所)では、調査済で、ロシア政府側から国籍離脱証明を得たうえで、日本に帰化することになります。この場合、ロシア国籍は失います。日本国籍→ロシア国籍→日本国籍、と元に戻ったことになるわけです。この点、ロシアは男の子の場合、軍役義務がある点が気になるかもしれませんが、現状では、日本に在住している場合、軍役義務を履行していない男の子でもロシア国籍離脱可能とされています。

○不法残留または不法入国状態の場合
 一方、既にロシアの国籍を取り、長年放置しているという人は、もう「在留資格取得許可申請」はできません(30日以内まで)。なお、入管法の規定により、「在留資格取得許可申請」をしないで、在留できる期間は「60日間」までなのです。60日を過ぎたらどうなるか。不法残留(不法滞在)になります。では、この子どもがいったん出国して、日本旅券を行使して戻ってきたらどうなるか。こちらは不法入国になります。したがって、お子さんは、不法残留か不法入国かのいずれかです。出入国していない子どもは少ないので、ほとんどが不法入国でしょう。子どもは未成年というか、(正確に言うと)刑事未成年でいる間は、責任を問われないとしても、子どもにそういうことをさせている両親は責任を問われかねないと思います(不法滞在の間接正犯)。
 さて、この不法残留か不法入国の場合も、「国籍喪失届」、「外国人登録」、「在留希望で入管に出頭申告(退去強制手続の中で行う)」といった一連の作業を一気にやるしかありません。しかし、そこから先がまた問題があります。実は、これで仮に在留特別許可を(しばらく待った後に)何とか得たとしても、「在留特別許可」を得てしまった人の「永住許可」や「(日本への)帰化許可」は、そうでない人よりも、一般に、はるかに時間がかかるのです。できれば就職活動するころよりは先に済ませておきたいものです。このことからも、できれば、「在留特別許可」経由にしないようにしたいものです。

○「国籍喪失届」受理後に市区町村からもらう書類とは?
 その後のことを考えると、一般には以下の書類をもらうとよいでしょう。
*国籍喪失届受理証明書
*国籍喪失届記載事項証明書
*戸籍謄本(子どもの除籍の記載のあるもの)
*住民票(子どもが除票となり、かつ、備考欄に外国人側配偶者と子を掲載したもの。)
*住民票の除票(念のため。)
*出生届受理証明書(日本国籍喪失後ももらえるのが普通です。これが発行されないと、子どもの親子関係等の身分を証明する基本資料が無くなってしまいますので、実際上も発行する義務が日本政府に存すると解されます。ロシア国籍取得後も、日本政府の発行した出生届受理証明書を在日ロシア大使館で翻訳認証したものを、ロシアの国外旅券を発行するときに証印を裏面に押捺する等、ロシア側は、あたかもロシアの出生証明書かのように扱っています。)
*子どもの外国人登録証明書(16歳になって、カード型に切り替えるまでは、携帯義務無し。)
*子どもの外国人登録原票の写し(B4サイズ二つ折り。)
*子どもの外国人登録原票記載事項証明書

○最後に
 以上、みてきたように、国籍というのは重大な影響を与えるものであると共に、簡単に喪失されるものです。「30日以内」までに「在留資格取得許可申請」が間に合いそうにないとか、日本旅券を取り上げられたとか、国籍に関して、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 外国人として生活する場合でも、外国人登録で「通称名」を登録し、日本人だったころの漢字の氏名をそのまま使い、健康保険、年金、銀行、学校等の様々な場面で、元の氏名を使い続けることは可能です。乳幼児医療証や子ども手当もそのまま使って構わないのが普通です。
 勇気をもって決断するべきだし、いつかやらなければならないことですから、やるなら早くしたほうが子どものためになると思います。いつかまた日本国籍に戻れるよう、学校や就職や結婚に影響が出ないよう、計画的に統制できる方法でやるべきです。

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